2010年9月1日水曜日

部品店から原点に回帰

 アキバのルーツである総武線ガード下をご案内しましたが、彼らはどうしてラジオに注目したのでしょうか? 敗戦後の神田の露天商になったヒトたちに、軍隊での通信兵が多かったと教えてくれたのは、ライオン電機(駅前のトキワ無線の隣りにありました)のS常務でした。「ラジオはね、当時、今でいうハイテク商品だったんだよ」。まだ、テレビが発明されていない時代ですが、世間で起きていることをヒトは知りたかったのです。電源を必要としない鉱石ラジオの作成キットは、アキバで入手できます。
 
 戦後のラジオ部品は旧日本軍や占領軍(GHQ)が放出した部品から始まりました。GHQ本部は九段にあり、そのそばで営業というわけにはいきませんから、ほどよく距離のある神田界隈に露天商たちが集中したのです。真空管、半導体と部品は変化し、朝鮮戦争特需では家電品が爆発的に売れるようになりました。アキバ各店は、時代に合わせた売れるモノを取り扱いはじめます。現在のハイテク商品であるiPadやiPhone 4も、分解すれば、台湾や韓国で製造された部品の集合体なんですね。
 
 画像の「秋月電子」と「千石電商」は、部品一筋でブレない経営をしてきました。商品は完成品・半製品・部品と分けることができますが、現在のアキバでは、完成品はヨドバシアキバ、ヤマダ、石丸、ソフマップなどが販売(一部、半製品や部品もありますが)する一方、部品専門店が増加傾向にあることが見逃せません。さきほどのS常務は、「どんな商品も部品のカタマリだ」と話していましたが、アキバの原点に回帰しようとしているショップが活況を呈していることは、非常に頼もしいことです。
 
 ちなみに、小生は秋月電子で電子工作キットを何度か購入しています。ココのキットを製作するには、半田ごてが必須です。まだ瞳から星がキラキラしていた純粋無垢な少年は、夜がふけるのも忘れて、基盤に部品を取り付けていました。ある日、突然、激痛が走りました。はい、半田を使えば、一度は経験するのが火傷です。ちなみに半田ごてひとつをとっても、ICの普及から専用のモノが売られるようになったり、有害物質を含まない半田が生まれたりと、さまざまな治具を進化させました。

【島川言成のメッケたぞ!】もご利用くださいませ。

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